再就職手当とは?制度の概要と目的

再就職手当は、失業保険の基本手当をすべて使い切る前に就職した方に支給される奨励金です!
「早く就職できてえらい!」という“お祝い金”のような位置づけなんですよ。
再就職手当は、厚生労働省が定める「就業促進給付」の一種で、失業給付の途中で就職した場合に支給される制度です。
失業期間を短くすることが目的で、再就職を早期に決めた方に対して国が金銭的に支援してくれる仕組みとなっています。
たとえば、基本手当(失業保険)を受給できる残り日数が50日残っている状態で就職が決まった場合、その残日数の60〜70%に相当する金額が一括で支給されます。
失業給付の残りを一部先払いしてくれるイメージです。
つまり、失業保険と再就職手当を両方同時にもらうことはできませんが、早期に再就職することで結果的に多くの給付が得られるケースもあるのです。
以下のような方におすすめの制度です:
- 生活費に余裕があり、なるべく早く就職したい
- 失業保険をすべて受け取らなくても構わない
- 新しい職場に1年以上継続して働く予定がある
再就職手当を受け取るには、いくつかの要件があります。次章では、失業手当との違いや支給タイミングをわかりやすく解説していきます。

失業保険と両方もらえるわけではないので、どちらかを選ぶ必要があります!
条件によっては「基本手当を満額もらうよりお得」なこともありますよ。
失業手当との違い|目的と支給タイミング

再就職手当は「失業手当」とはまったく別の制度です!
支給されるのは“どちらかだけ”なので注意しましょう。
失業手当(基本手当)は、離職後の生活を支えることを目的とした制度です。
一方で再就職手当は、早期に再就職した方を奨励・支援するための“報奨金”のような役割を持ちます。
つまり、「失業手当=生活保障」、「再就職手当=就職奨励金」という性格の違いがあります。
支給タイミングにも違いがあります。失業手当は離職後、求職活動を行いながら毎月支給されるのに対し、再就職手当は就職が決定した後に一括で支給されます。
注意点として、両方の制度は併給不可です。「失業手当をもらい続けながら再就職手当を受け取る」といったことはできません。
では、どちらが得か?という疑問が生まれるかもしれませんが、これは「就職のタイミング」によって変わります。
自己都合退職などで給付制限がある場合でも、再就職手当の支給条件を満たせば早期支給が可能になるため、総額としては再就職手当のほうが得になることも。
📊 再就職手当と失業手当の違い(比較表)
項目 | 失業手当 | 再就職手当 |
---|---|---|
目的 | 生活費の支援 | 早期就職の奨励 |
支給タイミング | 失業中に毎月 | 就職後に一括 |
支給対象 | 求職中の方 | 早期就職した方 |
併給可否 | 不可 | 不可 |
🔍 私はどれをもらえる?制度フローチャートで確認
再就職手当・就業促進定着手当・基本手当(通常受給)の違いがわからない方は、以下の表で整理してみましょう。
① すでに再就職が決まっている → 再就職手当
② 再就職後、6カ月以上働いた & 給料が前職より低い → 就業促進定着手当
③ まだ再就職先が決まっていない → 基本手当(通常の失業給付)
状況に応じて、複数の制度が組み合わさることもあります。詳細は各章で確認しておきましょう。
次章では、再就職手当が実際いくら支給されるのか、計算方法と支給額の具体例をご紹介します。
支給額はいくら?再就職手当の計算方法

再就職手当の支給額は、「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率」で計算されます。
ちょっと複雑なので、次の図や計算例でわかりやすく整理しますね!
再就職手当の支給額は、以下の3つの要素で決まります。
- ① 基本手当日額:失業手当1日分の金額(上限あり)
- ② 支給残日数:再就職時点で残っている失業手当の給付日数
- ③ 支給率:60%または70%(早期就職かどうかで変動)
📊【図解】再就職手当の計算イメージ

たとえば基本手当日額が6,000円で、支給残日数が50日だった場合:
6,000円 × 50日 × 70% = 210,000円
このように、再就職のタイミングが早いほど手当額が多くなります。
🧮【モデルケース1】月収25万円の場合
- 賃金日額:約8,300円 → 基本手当日額:約6,500円
- 残日数:45日/支給率70%
- 再就職手当=6,500円 × 45日 × 70% ≒ 204,750円
🧮【モデルケース2】月収40万円の場合
- 賃金日額:約13,300円 → 基本手当日額(上限):7,500円
- 残日数:50日/支給率60%
- 再就職手当=7,500円 × 50日 × 60% ≒ 225,000円
給付額の詳細は、あなたの賃金額・就職タイミングにより異なります。
詳しくは、失業保険の記事も併せてご覧ください。
再就職手当の受給条件|7つのチェックポイント

条件が揃っていないと、せっかく就職しても再就職手当がもらえないことがあります!
全7項目をしっかりチェックしましょう。
再就職手当は、誰でももらえる制度ではありません。
支給されるには、ハローワークが定める7つの条件すべてを満たす必要があります。
ここではその条件を一つずつ、わかりやすく解説します。
✅ 条件①:待機期間が終了してから就職している
失業保険の受給手続きをしてから、まず7日間の待期期間があります。
この期間が終わる前に就職してしまうと、再就職手当の対象外になります。
✅ 条件②:失業保険の「支給残日数」が3分の1以上ある
所定の給付日数のうち、3分の1以上が残っている状態で再就職すると支給対象です。
例えば90日中40日残っていればOK、20日しか残っていなければ対象外です。
✅ 条件③:再就職先が前職と密接な関係がない
前の勤務先と資本・人事・取引面で関係のある会社へ就職した場合、支給対象外です。
同じグループ企業や系列会社は要注意です。
✅ 条件④:1年以上働ける見込みがある
就職先が契約社員・派遣社員でも、1年以上働く予定があると認められれば対象になります。
見込みがない(短期雇用)と判断された場合は支給されません。
✅ 条件⑤:過去3年以内に同様の手当を受けていない
過去3年以内に再就職手当または就業促進手当を受け取っていた場合、再度の支給は不可となります。
✅ 条件⑥:受給資格決定前に内定していない
離職した時点で再就職先が内定していた場合は対象外です。
失業保険の「受給資格決定」より後の内定が必要です。
✅ 条件⑦:再就職手当の支給決定日前に退職していない
再就職後にすぐ退職してしまうと、支給されないケースがあります。
支給決定日まで継続勤務していることが求められます。
- ✔ 待機期間終了後の再就職
- ✔ 支給残日数が3分の1以上
- ✔ 前職と関係のない企業
- ✔ 1年以上の雇用見込み
- ✔ 過去3年以内に未受給
- ✔ 受給資格決定前の内定なし
- ✔ 支給決定日前の退職なし
以上の条件をすべて満たせば、再就職手当の受給が可能となります。
次章では、実際に再就職手当をもらうための申請手続きの流れを解説していきます。
再就職手当の申請方法と必要書類

申請のタイミングを逃さないように注意しましょう。
就職してから1カ月以内が原則ですが、最長2年以内なら間に合います!
再就職手当の申請は、就職した日から1カ月以内にハローワークへ申請する必要があります。
ただし、申請期限を過ぎても正当な理由があれば最長2年間は申請が可能です。
📄【申請の流れ】
- 就職が決まったら、採用証明書を就職先からもらう
- ハローワークで再就職手当支給申請書を受け取る
- 就職先に記入・押印してもらう
- ハローワークへ申請書と必要書類を提出
- ハローワークの審査(通常1〜2カ月)
- 支給決定・振込
📋【必要書類一覧】
- ✔ 再就職手当支給申請書
- ✔ 採用証明書
- ✔ 雇用保険受給資格者証
- ✔ 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- ✔ 印鑑
採用証明書の様式はハローワークで配布されますが、
厚労省の公式サイトからもダウンロードできます。

次章では、再就職手当のメリットと注意点を比較形式で整理します。
再就職手当のメリットと注意点|制度を正しく理解しよう

「再就職手当って“もらえたらラッキー”くらいに思われがちですが、実はかなりメリットが大きい制度なんです!でも注意点もありますよ」
✅ メリット:早期再就職で経済的な余裕が生まれる
再就職手当には非課税・返金不要・再受給可能などのメリットがあります。
とくに「次の就職先が合わなかった場合」でも再度失業保険が受けられる点は安心材料です。
- 非課税(年末調整・確定申告の必要なし)
- 返金不要(受給後に退職しても返す必要なし)
- 再度の失業保険申請OK(条件を満たせば再利用可能)
📌 社会保険や就職判断には要注意
一方で、以下のような注意点もあります。
- 社会保険の扶養から外れる可能性(収入130万円を超えると扶養対象外)
- 焦って就職先を選びかねない(金額に釣られてミスマッチの職場を選ぶことも)

「“就職困難者”制度の方が有利なケースもあります。
条件に当てはまるならそちらも検討してみましょう」
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再就職手当が受け取れないケースとよくある落とし穴

「“もらえると思ってたのに…”とがっかりする方が本当に多いんです。
よくあるミスや見落としを一緒に確認しましょう!」
再就職手当の制度はメリットが大きい反面、ほんの少しの見落としや誤解で受給できなくなることがあります。
❌ 受け取れない主なケース
- 受給資格決定前に内定していた(事前に決まっていた就職は対象外)
- 就職した会社が前職の関連企業だった(資本・人事・取引関係)
- 就職後すぐ退職した(支給決定日前の退職はNG)
- 支給残日数が3分の1未満(計算ミスに注意)
⚠️ よくある落とし穴
- ✔ 就職証明書の記入漏れ(会社印が抜けていて差し戻し)
- ✔ 就職日が「待期期間」前だった(そもそも対象外)
- ✔ 申請期限(原則1カ月)を過ぎてしまった
📉 実際にあった不支給事例(ハローワーク回答)
- 退職前に転職活動をしていたことを正直に書いた結果、内定日が早すぎて不支給に
- 転職先が元職場のグループ会社と知らずに申請 → 企業調査で関連性が発覚
- 入社前研修を受けた日を「就職日」として記入 → 待期期間より前で却下
こうした事例は本人に悪意がなくても不支給になることがあります。記入ミスや認識違いがないか、申請前に必ず確認しましょう。
📊 モデルケースでチェック
→ 待期期間経過後かつ早期再就職で「支給対象」に。
支給残日数:65日 → 70%支給。
→ 再就職手当 例:約168,000円
→ ハローワーク面談時に就職先が決まっていたため「対象外」と判断。
→ 不支給。
→ 「就職後すぐの退職」で安定的雇用とみなされず不支給。
→ ハローワークでの相談不足が原因。
🙋♀️ 体験談Q&A|現場であったリアルな声
A:試用期間中の退職は雇用の安定性が問われるため、すぐに辞めた場合は不支給になる可能性が高いです。
A:登用のタイミングがハローワークの受給資格決定日より後であれば対象になりますが、事前に勤務していた事実があると除外されるケースもあります。
A:ハローワークでは契約書・就職証明書・実際の勤務日の整合性が厳しく見られます。不一致があると確認が長引いたり差し戻しになることも。
A:前職と資本関係や取引関係がある企業は支給対象外です。小規模企業や親族経営だと誤認されやすいため注意が必要です。
A:いいえ、内定日が退職前だと不支給対象です。入社日ではなく「内定を受けた日」で判断されるので、正直に書くと不利になる場合も。
これらのトラブルは、就職直後に慌てて申請した結果起こることが多いです。
落ち着いてハローワークでの確認を最優先にしましょう。

「“早く申請しないと損!”と焦るのは危険です。
条件を満たしてから、確実に書類をそろえて出すのがベストですよ」
次章では、再就職手当と混同しやすい就業促進定着手当との違いをまとめます。
就業促進定着手当との違いをわかりやすく比較

「再就職手当の後にもらえる“就業促進定着手当”って、何が違うんですか?」
就業促進定着手当は、再就職手当を受給した人のうち、就職先で6カ月以上勤務し、かつ賃金が前職より下がっている人に対して追加で支給される制度です。
つまり、再就職後も継続して働き、前職より収入が減った人を支援する「就業継続型の補助制度」です。
📊 制度の違いを徹底比較
項目 | 再就職手当 | 就業促進定着手当 |
---|---|---|
支給タイミング | 就職直後(原則2カ月以内) | 就職後6カ月以上経過後 |
対象者 | 基本手当の受給資格がある人 | 再就職手当を受けた人 |
条件 | 受給資格決定後に就職し、一定の残日数がある | 6カ月以上勤務し、前職より賃金が下がっている |
支給額 | 基本手当の60~70%(残日数による) | 前職との差額 × 6カ月(上限あり) |

「制度の選び方に迷ったら、次の3つの視点で考えてみてくださいね!」
- ① 年齢と今後の働き方(若年層なら再就職手当の早期活用がおすすめ)
- ② 再就職先の安定性(6カ月以上働けそうなら定着手当も見据えて)
- ③ 前職との給与差(大幅に下がった場合は定着手当の申請も検討)
焦らず、ライフプランに合った制度を選びましょう。
💰 ダブル受給シミュレーション
・退職後すぐに再就職(支給残日数70日)
→ 再就職手当:約203,000円
・就職後6カ月以上勤務+前職より月3万円減
→ 就業促進定着手当:3万円 × 6カ月 = 180,000円
✅ 合計支給額:約383,000円
・早期再就職(支給残日数90日)
→ 再就職手当:約485,100円
・就職後6カ月勤務+月収5万円減
→ 就業促進定着手当:5万円 × 6カ月 = 300,000円(上限あり)
✅ 合計支給額:約785,100円(実際の支給額は要審査)

「“再就職手当”と“定着手当”を両方受け取れると、かなりの金額になりますね。
転職直後の生活費にも、長期的な安定にもつながる支援です」