退職後に開業届と青色申告が必要な理由
退職してフリーランスになると、会社員時代とはまったく異なる税務・保険の手続きが必要です。特に開業届と青色申告承認申請は、節税や信用を得るための第一歩です。

「退職したら健康保険や年金だけでなく、税務署への届出も必要です。知らずに放置すると損をすることも多いので注意してくださいね!」
✅ フリーランスになるときの基本的な流れ
まずは開業届を税務署に提出し、個人事業主として正式に登録します。次に、青色申告を選ぶ場合は「青色申告承認申請書」を別途提出する必要があります。この2つの書類がフリーランス生活の基盤です。
✅ 開業届を出すメリット
開業届を提出すると、事業として経費を計上でき、節税につながります。さらに、社会的信用が高まることで、銀行口座開設や融資申請もしやすくなります。

「開業届を出していないと、青色申告の控除は受けられません。届出と申請はセットで進めるのが大切です。」
✅ 青色申告の65万円控除とは?
青色申告を選ぶと、最大65万円の特別控除を受けられます。ただし、複式簿記と電子申告が条件です。手間はかかりますが、節税効果は大きく、赤字の繰越も可能になります。
✅ 退職からフリーランス開業までの流れ
ステップ | やること | 提出先・手続き先 | 期限・タイミング |
---|---|---|---|
①退職 | 退職手続き・社会保険脱退 | 勤務先・市区町村 | 退職日まで |
②開業届の提出 | 個人事業主として開業届を提出 | 税務署 | 開業から1か月以内 |
③青色申告承認申請 | 青色申告承認申請書を提出 | 税務署 | 開業から2か月以内 |
④国民健康保険・年金切替 | 社会保険→国保・国民年金へ切替 | 市区町村役所 | 退職後14日以内 |
⑤事業開始 | 帳簿作成・経費管理開始 | 自身で管理 | 随時 |
👉 退職後に必要な全体の手続きについてはこちらも参考にしてください。
退職したら何から始める?社会保険・税金・年金の手続きを徹底ガイド
開業届の準備と提出方法
退職後にフリーランスとして活動を始める場合、まずは開業届を税務署に提出します。これにより、正式に個人事業主として登録され、経費計上などの税務メリットが得られます。
✅ 開業届に必要な情報
開業届には以下の内容を記載します。
- 氏名・住所・生年月日
- 職業(「デザイナー」「ライター」など)
- 事業開始日
- 屋号(任意)
- 青色申告を選ぶ場合の届出の有無
特に事業開始日は、退職後いつから事業を始めるかを明確にしておく必要があります。

「提出書類は1枚だけなので簡単です。ただし、書き方に迷う方も多いので税務署で確認すると安心ですよ!」
✅ 提出先と提出期限
開業届は納税地を管轄する税務署に提出します。期限は「開業日から1か月以内」です。期限を過ぎても罰則はありませんが、青色申告の特典が受けられなくなることがあります。

「青色申告を選ぶなら、開業届と承認申請書は同時に提出するのがおすすめです。忘れずセットで出しましょう。」
👉 e-Taxを使った提出方法についてはこちらも参考にしてください。
開業届を最短1日で出す方法|e-Tax完全マニュアルと紙提出の流れ
✅ e-Taxと窓口どちらがいい?
最近はe-Taxでオンライン提出する人が増えています。自宅で完結できるため便利ですが、マイナンバーカードやICカードリーダーが必要です。紙で提出する場合は控えも一緒に持参し、収受印を押してもらうと証明として保管できます。
✅ 屋号はどう決める?
屋号は任意ですが、名刺や請求書に記載することで信用を高められます。将来的に法人化を考えている場合も、屋号を決めておくと統一感が出ます。

「屋号は一度決めても、あとから変更できます。まずはシンプルな名前でも大丈夫です!」
青色申告承認申請書の提出手順
青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出しないまま申告期限を迎えると、白色申告として扱われてしまうので注意しましょう。
✅ 提出するタイミング
提出期限は原則として開業から2か月以内です。例えば、5月10日に開業届を出した場合は、7月10日までに申請書を提出します。期限を過ぎるとその年の青色申告はできず、翌年から適用になります。

「退職後にすぐ事業を始める人は、退職月の翌月が期限の目安になります。スケジュールを必ず確認してくださいね。」
✅ 青色申告承認申請書の書き方
申請書には以下の項目を記載します。
- 氏名・住所・屋号
- 事業の概要(どのような事業か)
- 所得の種類(事業所得など)
- 帳簿の種類(複式簿記・簡易簿記)
- 備付帳簿(総勘定元帳・仕訳帳など)
書き方が不安な場合は、税務署の窓口で直接確認するのがおすすめです。
✅ 提出期限に注意
提出期限を過ぎると、その年の青色申告は認められません。特に65万円控除を希望する場合は、必ず期限内に提出しましょう。

「期限内に出さないと青色申告は翌年からしか適用できません。退職と同時に準備を始めるとスムーズです!」
✅ 白色申告との違い
白色申告は届出が不要で手続きが簡単ですが、控除額や節税の面では青色申告に比べて不利です。
- 特別控除額(最大65万円控除がない)
- 赤字の繰越ができない(これが最大のデメリット)
- 記帳・帳簿保存が簡易的
特に赤字を3年間繰り越せるかどうかは、経営が軌道に乗るまでのフリーランスにとって非常に重要です。最初は収入が少なく赤字になることも多いため、将来の利益と相殺できる青色申告のメリットは、単純な控除額以上に大きな価値があります。

「青色申告は『65万円控除』だけが注目されがちですが、赤字の繰越ができるかどうかで長期的な税負担が大きく変わります。ここを理解して選ぶのが本当に大事ですよ。」
青色申告で使える節税メリット
青色申告を選ぶ最大の理由は、節税効果がとても大きい点です。単純な65万円控除だけではなく、経費計上や赤字繰越など、フリーランスの経営を支える重要な制度が含まれています。
✅ 65万円控除の条件
青色申告の特別控除は、条件を満たすことで最大65万円を所得から控除できます。主な条件は以下の通りです。
- 複式簿記による記帳
- 総勘定元帳・仕訳帳を備える
- 期限内に確定申告を行う
- 電子申告または電子帳簿保存
複式簿記は難しそうに見えますが、最近は会計ソフトを使えば比較的簡単に対応できます。

「条件を満たさない場合は55万円控除や10万円控除に切り替わります。帳簿と電子申告の準備を先に確認しましょう。」
✅ 白色申告と青色申告の違い比較表
項目 | 白色申告 | 青色申告 簡易簿記(10万円控除) |
青色申告 複式簿記(55万円控除) |
青色申告 複式簿記(65万円控除) |
---|---|---|---|---|
控除額 | なし | 10万円 | 55万円 | 65万円 |
必要帳簿 | 収支内訳書 | 簡易簿記 | 複式簿記 | 複式簿記+電子申告 |
赤字の繰越 | 不可 | 3年繰越可 | 3年繰越可 | 3年繰越可 |
提出期限 | 確定申告期限 | 開業から2か月以内に承認申請 | 同左 | 同左 |
主な特徴 | 手軽に申告可能 | 一部控除・簡単な帳簿 | 大きな控除・複式簿記 | 最大控除・電子申告必須 |
✅ 経費計上できる支出例
青色申告では、仕事に関連する支出を経費として計上できます。代表的な例は以下の通りです。
- 自宅家賃の事業使用分
- 通信費(スマホ・ネット代)
- 消耗品や書籍の購入費
- 打合せや移動の交通費
経費を適正に計上することで、所得を減らし税額を抑えることができます。
✅ 赤字を繰り越せる制度
青色申告の大きな強みのひとつが赤字の3年間繰越です。収入が少ない開業初期に赤字となっても、翌年以降の黒字と相殺できます。

「最初の年に赤字が出ても、その分を3年間繰り越して税金を軽減できます。これは青色申告だけの特典です!」
特に、フリーランスは収入が不安定になりがちなため、この制度を活用するかどうかで将来の税負担が大きく変わります。
✅ 開業費を経費にする方法
開業準備にかかった費用は開業費として計上可能です。広告費・備品購入費・相談料など、事業開始に直接関わる支出は「繰延資産」として分割計上もできます。
開業費は初年度に全額経費にすることも可能なので、資金計画と税務戦略を考えて活用しましょう。
👉 確定申告の具体的な方法はこちらも参考にしてください。
退職後の住民税・所得税を損なく払う方法|確定申告の手順と注意点
帳簿・書類の準備と管理
青色申告を選ぶ場合、帳簿付けと書類の保管は必須です。面倒に感じるかもしれませんが、会計ソフトを利用すれば初心者でも問題なく対応できます。
✅ 青色申告に必要な帳簿とは?
青色申告(65万円控除)の場合、以下の帳簿が必要です。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
一方、白色申告や青色10万円控除の場合は、簡単な収支内訳書のみでOKです。
✅ 会計ソフトを使うメリット
複式簿記を手書きで行うのは大変ですが、クラウド会計ソフトを活用すると自動仕訳や帳簿作成が簡単です。代表的なソフトは「freee」「マネーフォワードクラウド」「弥生会計オンライン」などがあります。

「はじめての方は会計ソフト一択でいいと思います。自動で帳簿が作れて、とてもラクになりますよ!」
✅ 書類保管のルールと期間
税務調査があったときに備え、書類を正しく保管しておく必要があります。青色申告では7年間の保存が義務付けられています。
✅ 開業後に準備・保管すべき帳簿と書類
書類・帳簿 | 概要 | 保存期間 |
---|---|---|
総勘定元帳・仕訳帳 | 取引を記録するメイン帳簿 | 7年間 |
請求書・領収書 | 経費や収入の証拠書類 | 7年間 |
現金出納帳 | 現金の動きを記録 | 7年間 |
固定資産台帳 | 減価償却資産の管理 | 7年間 |
帳簿や書類は、紙で保管するだけでなく電子データでも保存できます。どちらの場合も、改ざんや紛失を防ぐ仕組みを整えることが大切です。

「ここまで読むと『やっぱり難しいし税理士に任せようかな…』と思うかもしれません。でも実際は、会計ソフトを使えば全然大したことはありませんし、月に数千円程度の費用で済むことがほとんどです。迷ったら質問してくださいね。」
👉 資金管理や生活費のシミュレーションはこちらも参考にしてください。
退職後1年の資金計画シミュレーション|生活費・税金・給付金をまるごと整理
開業後にやるべきことと注意点
開業届と青色申告承認申請が終わっても、安心して終わりにできるわけではありません。税金・保険・資金管理など、退職後すぐに対応するべきことがあります。ここでは、やることリストを整理しておきましょう。
✅ 住民税・国保の届出
退職後は社会保険を脱退するため、健康保険と年金を切り替えます。市区町村役場で国民健康保険・国民年金の手続きを行うのが基本です。
- 退職日の翌日から14日以内に届出
- 前年の所得に応じて保険料が決まる
- 任意継続健康保険を選ぶことも可能
住民税は前年の所得に基づいて通知が届きます。退職後も納付が必要なので注意しましょう。

「保険や年金は切り替えを忘れると無保険状態になります。退職後2週間以内に済ませましょう!」
✅ 退職後の社会保険との関係
会社員時代の社会保険資格喪失後は、次の選択肢から選びます。
- 国民健康保険に加入する
- 任意継続健康保険を利用する(最長2年)
- 配偶者の扶養に入る(条件あり)
任意継続は、保険料負担が重くなるケースもあるため、国保との比較が大切です。

「フリーランスになったら健康保険と年金は自分で管理することになります。手続きを後回しにしないよう注意しましょう。」
✅ 開業後の資金管理ポイント
開業初期は収入が不安定になりがちです。次のポイントを意識して資金管理を行いましょう。
- 最低3か月分の生活費を確保する
- 事業用口座とプライベート口座を分ける
- 税金・保険料分を毎月取り分ける
- 将来的な設備投資・事業拡大も見越して計画する
最初は不安が大きいかもしれませんが、収入の波を前提に準備しておくことで安心感が生まれます。

「税金や保険料は、後からまとめて請求が来ることが多いです。毎月少しずつ積み立てておくと安心ですよ。」
よくある質問Q&A
✅ 開業届は出さないとどうなる?
開業届を提出しない場合、罰金や罰則はありません。しかし青色申告の控除を受けられないため、税金面で大きな損になります。また、事業用口座の開設や融資申し込みでも提出を求められることが多いです。

「実務上は“罰則がない=出さなくていい”ではありません。控除・信用・融資の面で不利なので、必ず提出しましょう。」
✅ 青色申告の提出期限は?
青色申告承認申請書は開業から2か月以内に提出する必要があります。期限を過ぎると、その年の青色申告はできず、翌年からの適用となります。
一度提出すれば翌年以降も自動で継続されますが、事業を廃止した場合は廃業届も提出が必要です。
✅ 個人事業税はいつからかかる?
個人事業税は、事業所得が年間290万円を超えた場合に課税されます。事業開始初年度は所得が少なく課税されないケースも多いですが、利益が増えてくると翌年以降に通知が届きます。

「個人事業税は意外と忘れがちです。確定申告だけで完結したと思わず、通知が届いたら忘れずに納付しましょう!」
✅ 屋号は後から変更できますか?
はい、屋号はいつでも変更可能です。変更した場合は税務署に「異動届」を提出すればOKです。銀行口座や請求書の表記も合わせて変更しましょう。
✅ 開業届と青色申告承認申請は郵送できますか?
どちらも郵送提出が可能です。提出する際は控えも同封し、返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、控えに収受印を押して返送してもらえます。

「郵送でも問題ありませんが、書き方に不安がある場合は窓口で相談するのがおすすめです。」
まとめ|迷わず開業してフリーランスをスタートしよう
✅ 開業届と青色申告をセットで準備する
退職後にフリーランスを始めるなら、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出するのが鉄則です。先に届出を済ませることで、経費計上や控除など多くのメリットを早く享受できます。
✅ 節税と手続きは期限が重要
税金の手続きは期限を逃すと損をすることばかりです。開業届は開業から1か月以内、青色申告承認申請書は2か月以内が期限なので、スケジュールを逆算して動きましょう。

「期限さえ守れば、難しいことはありません。会計ソフトやチェックリストを活用すればスムーズに進められますよ。」
✅ 不安なときは専門家に相談しよう
開業・青色申告・資金管理は初めての人にとって不安が多いものです。すべてを一人で抱え込まず、税理士や行政書士に相談するのも一つの方法です。
このサイトでも、手続きや制度についての質問を受け付けています。疑問があればいつでも気軽に聞いてくださいね。