保険料がどう変わるか
✅ 会社員とフリーランスの負担の差
会社員の間は健康保険料の半額を会社が負担しています。しかし退職後は、国民健康保険か任意継続のいずれかに加入し、保険料を全額自己負担することになります。
この差は想像以上に大きく、保険料が年間で20万円以上増えるケースも珍しくありません。
※本章では厚生年金・国民年金の保険料は除き、健康保険のみの負担額を比較しています。
✅ 年収500万円のモデルケース
退職後の保険料がどれくらい変わるか、具体的な金額で確認してみましょう。
✅ 年収500万円のモデルケース
【モデルケース】
- 会社員時代:保険料 年間約30万円(折半)
- 退職後(国民健康保険):年間約55万円(全額負担)
月あたり約2万円以上の負担増になるため、何も考えずに切り替えると負担感が大きくなります。
区分 | 年間保険料(目安) | 特徴 |
---|---|---|
会社員(健康保険) | 約30万円 | 会社と折半 |
国民健康保険 | 約55万円 | 全額自己負担 |
任意継続 | 約45万円 | 上限あり・最長2年 |
👉 退職後フリーランスになる流れはこちらも参考にしてください:
退職後にフリーランスになるなら
次章では、任意継続制度の内容と条件を詳しく解説します。
任意継続被保険者制度とは?
✅ 会社の健康保険を最長2年続けられる制度
任意継続被保険者制度とは、退職後も会社員時代の健康保険を最長2年間だけ自分で払い続けられる仕組みです。
会社を辞めると通常は国民健康保険に加入しますが、任意継続を選ぶと保険料に上限があるため、収入が高かった人ほど負担を抑えられるケースが多いです。
✅ 利用できる条件
- 退職日の前日まで継続して2か月以上、健康保険に加入している
- 退職から20日以内に申請する
この「20日以内」という期限は非常に短いため、退職前から準備しておく必要があります。

「退職してから考えようと思っていると間に合わないんですね…。」
✅ 保険料の目安と上限額
保険料は退職時の標準報酬月額をもとに計算されます。ただし、上限額が決まっており、協会けんぽの場合は標準報酬月額32万円(月額保険料は約3万円)が上限です。
つまり、年収が高い場合でも年間保険料は約36万円程度が上限になります。
任意継続を選ぶかどうかは、次章で解説する国民健康保険の金額と比較して検討しましょう。
次章では、国民健康保険の減免制度について詳しく解説します。
国民健康保険の減免制度
✅ 所得が大幅に減る場合は減免できる
退職して収入が大きく下がったとき、国民健康保険料の負担が重いと感じる方も多いはずです。そんなときは減免制度を活用できる場合があります。
自治体によって条件は異なりますが、前年所得に対して収入が半減した場合や、災害・失業など特別な事情がある場合に減免が適用されます。
✅ 減免申請の流れ
- 市区町村役場の保険課に相談
- 減免申請書を提出
- 所得証明・退職証明など必要書類を添付
- 審査結果の通知を受ける
減免が認められると、保険料が数割軽減されることがあります。

「減免は自治体ごとのルールが違うので、まずは市役所で相談するのがおすすめです。」
✅ 減免後の負担目安
例えば、前年収入500万円で退職後収入がゼロになった場合、減免を適用すると保険料が約30~40%軽減されるケースがあります。
👉 退職後の税金手続きはこちらも参考にしてください:
退職後の住民税・所得税を損なく払う方法
次章では、任意継続と国民健康保険を比較してどちらが有利かを解説します。
任意継続と国保減免の比較
✅ 判断のポイントは「収入の見通し」
任意継続と国民健康保険のどちらが安くなるかは、退職後の収入や世帯構成によって大きく変わります。
一般的には、前年収入が高い人は任意継続が有利になりやすく、退職後の収入が大きく減る場合は国保減免が有利になることが多いです。
✅ 任意継続と国保減免の比較
項目 | 任意継続 | 国保減免 |
---|---|---|
保険料 | 前年収入に応じるが上限あり | 前年収入で決定、申請で減免可能 |
期間 | 最長2年 | 期限なし |
手続き | 退職から20日以内 | 随時申請可 |
【目安】退職前の標準報酬月額が高い場合、任意継続が割安になるケースが多いです。一方、収入が大幅に減る場合は国民健康保険の減免を検討すると負担を抑えられます。
【判断軸】再就職を予定している方は任意継続の方が手続きが簡単で有利になる場合が多いです。逆にフリーランスや独立を視野に入れている場合は、国民健康保険を選び減免や分納を活用するのも一つの選択肢です。
【モデルケース】年収500万円→退職後、任意継続なら年間約45万円、国保減免で約38万円まで下がる場合があります。

「迷ったら両方の試算をしてから決めるのがおすすめです。」
次章では、さらに保険料を軽減する方法を解説します。
さらに負担を減らすポイント
✅ 保険料の分割納付を活用する
退職直後は収入が不安定になりやすい時期です。保険料が高額で一括納付が難しい場合は分割納付(分納)を申し出ることができます。
市区町村の保険課に相談すると、月割で分納計画を立てることができる場合があります。
✅ 減免は必ず相談する
国民健康保険は自治体によって減免基準が異なります。退職後に収入が減る場合や生活が苦しい場合は、迷わず相談してください。
「相談したら減免を提案してもらえた」というケースはとても多いです。
✅ 無理せず専門家や役所に相談する
健康保険料の負担で精神的に追い込まれる方も少なくありません。無理に一人で抱え込まず、税理士・社労士・市区町村の保険窓口へ相談しましょう。

「分納や減免は相談すれば柔軟に対応してもらえることが多いですよ。」
👉 退職後の資金計画はこちらも参考にしてください:
退職後1年の資金計画シミュレーション
次章では、よくある質問をまとめて解説します。
よくある質問Q&A
✅ Q1. 任意継続と国民健康保険は同時に申し込めますか?
両方を同時に申し込むことはできません。どちらを選ぶか決めてから申請します。退職から20日以内に任意継続を申請しなければ自動的に国民健康保険に移行します。
✅ Q2. 任意継続は途中でやめられますか?
原則として2年間継続が基本ですが、保険料を滞納すると資格喪失となります。ただし、自分から途中で辞めることは基本的にできません。
✅ Q3. フリーランスでも減免は使えますか?
はい、収入が大きく減った場合や一定基準を下回る場合はフリーランスでも減免が利用できます。所得や世帯状況に応じて判断されますので市区町村に相談してください。

「疑問が残るときは早めに役所に相談するのがおすすめです!」
次章では、この記事の内容をまとめて振り返ります。
まとめ|保険料を見直して安心を手に入れよう
✅ 早めの手続きが安心への第一歩
退職後の健康保険料は想像以上に負担が大きくなることがあります。しかし、任意継続や減免を上手に活用すれば、無理のない範囲で保険料を抑えることができます。
✅ この記事を参考に一歩ずつ進めよう
本記事で紹介した内容をもとに、ご自身の収入やライフプランに合わせて最適な方法を選んでください。迷ったときは役所や専門家に相談すれば安心です。
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