フリーランスの経費とは?基本ルールを確認
経費になるものの考え方

経費は「事業に必要な支出」だけを対象にするのが原則です。
私的な支出や業務に直接関係しないものは経費にできません。
フリーランスや個人事業主の「経費」とは、事業を行ううえで必要不可欠な支出のことをいいます。 たとえば、取引先との打ち合わせの交通費や事務所の家賃など、収入を得るために必要な支出は経費に含められます。
国税庁では、以下のように定義しています。
必要経費とは、その年に生じた所得を得るために直接必要な売上原価その他の費用および販売費・一般管理費などの事業に関連する費用のことをいいます。
つまり、単なる「便利だから買った」「趣味で買った」という支出は、たとえ事業に少しでも関係があっても経費として認められないケースが多いです。
プライベートとの区分

プライベートと事業用が混ざる支出は、家事按分っていって割合を分けて計上するんですよね!
プライベートと事業用の支出が混在する場合は、家事按分(かじあんぶん)を行い、事業に使った割合だけを経費にする必要があります。
家事按分の代表例
- 自宅兼事務所の家賃 → 事業に使った面積割合で按分
- インターネット代 → 仕事に使った時間割合で按分
- 電話代 → 通話時間の割合で按分
家事按分は自己判断で適当に決めるのではなく、合理的な根拠をもって按分率を設定し、記録を残すことが重要です。
✅ 確定申告の基本から知りたい方はこちら:
フリーランス・個人事業主の確定申告を徹底ガイド
経費にできるもの一覧【カテゴリ別】
経費として計上できる支出は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の4つのカテゴリがあります。それぞれの具体例と注意点を確認しましょう。
事務所・通信費
事業用の事務所にかかる費用や通信費は、経費として認められる代表的な支出です。自宅兼事務所の場合は家事按分を行い、事業に使った分だけ計上します。
- 家賃の事業使用割合
- 電気・水道・ガス代の事業分
- インターネット・電話料金
交通費・旅費
取引先や現場への移動、出張にかかった交通費・旅費も経費にできます。私用と混ざる場合は、事業分だけを計上する必要があります。
- 電車・バス代
- タクシー代
- 出張時の宿泊費
接待交際費
取引先との関係構築のための支出も、条件を満たせば経費にできます。ただし常識の範囲内で、領収書や参加者を明確に記録しておく必要があります。
- 打ち合わせの飲食代
- 贈答品代
消耗品・備品
事業で使う文房具やパソコン、ソフトウェア購入費なども経費になります。10万円以上の備品は減価償却が必要な場合があるので注意しましょう。
- 文房具・印刷代
- パソコン・プリンタ
- 業務用ソフトウェア
カテゴリ | 主な経費例 |
---|---|
🏢 事務所・通信費 | 家賃の按分、電気・水道代、インターネット代、電話代 |
🚃 交通費・旅費 | 取引先訪問の交通費、出張旅費、宿泊費 |
🍽 接待交際費 | 打ち合わせ時の飲食代、贈答品 |
🛒 消耗品・備品 | 文房具、パソコン、ソフトウェア購入費 |

経費はカテゴリごとに分けて記帳することで、あとで集計しやすくなりますよ!
経費にできないものの具体例
経費にできるものがある一方で、以下のような支出は事業に関係がないため経費にできません。 「なんとなく経費にできそう」と判断してしまうと、税務調査で否認されるリスクがあります。
プライベート支出
私的な旅行や家族の生活費などは、事業と無関係なので経費計上できません。特にプライベート用と事業用が混ざる支出は注意が必要です。
- 家族との旅行費用
- 個人的な趣味のための支出
- 生活費・日用品
税務調査で否認されやすい例
税務調査では「経費に計上する根拠が弱い支出」が重点的にチェックされます。 常識から逸脱する高額な交際費や、事業との関連が説明できない購入費用は特に要注意です。
- 極端に高額な飲食代や接待費
- プライベート利用が明らかな高額備品
- 罰金・反則金
支出項目 | 理由・備考 |
---|---|
私的旅行の費用 | 事業と無関係 |
家族の生活費 | 事業経費にならない |
罰金・反則金 | 経費として認められない |
所得税・住民税 | 個人負担の税金 |
生活用資産の購入費 | プライベート利用が主 |
極端に高額な交際費 | 必要性が説明できない |

「どうしてこれが必要なのか?」を説明できない支出は、経費にしない方が安全ですね。
経費計上の注意点と帳簿付け
経費は正しく帳簿に記録し、証憑(しょうひょう)をきちんと保管する必要があります。 ここでは経費計上の注意点と帳簿付けの基本を解説します。
領収書の保存ルール
フリーランスの場合、経費の証拠として領収書・レシートを保存する義務があります。
原則として7年間の保存が必要です。
- 宛名は「上様」ではなく屋号や名前を入れる
- 日付・金額・内容が明記されたものを保管する
- レシートしかない場合も保存可(但し内容をメモすると安心)

電子帳簿保存法に沿って、スキャンデータやPDFで保管する方法もあります。
証憑管理の方法
証憑(領収書や請求書)は種類ごとにファイルやフォルダで整理しておくと便利です。 クラウド会計ソフトを活用すると、写真をアップロードして自動仕訳が可能です。
- 紙の証憑は月別・科目別にファイリング
- 電子データもフォルダ分けして保管
- クラウド会計のスマホアプリで即時アップロード
経費計上をきちんと行うことで、税務調査で余計な指摘を受けるリスクを減らせます。
✅ 小規模企業共済で節税する方法はこちら:
小規模企業共済のメリット・デメリットを徹底比較
青色申告・白色申告と経費処理の違い
フリーランスの経費処理は、青色申告と白色申告で大きな違いがあります。 特に青色申告は控除額が大きく、節税効果が高いのが特徴です。
65万円控除と経費
青色申告の特典として、65万円・55万円・10万円の控除があります。 複式簿記で帳簿をつけ、期限内に申告すれば最大65万円の控除を受けられます。
- 65万円控除:複式簿記+電子申告
- 55万円控除:複式簿記
- 10万円控除:簡易簿記
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
控除額 |
最大65万円(複式簿記+電子申告) 最大55万円(複式簿記) 最大10万円(簡易簿記) |
なし |
帳簿の種類 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡易帳簿 |
損失の繰越 | 3年繰越可能 | 不可 |
白色申告の簡易帳簿
白色申告は帳簿付けが簡単ですが、控除が一切なく節税メリットも小さいです。 記帳義務がある点は同じなので、節税を考えるなら青色申告がおすすめです。

私は最初から青色申告にして、複式簿記と電子申告に挑戦しました!
✅ e-Taxの操作マニュアルはこちら:
確定申告をe-Taxで行う完全マニュアル|初心者向けステップガイド
よくある質問Q&A
家事按分の割合はどう決める?
家事按分の割合は合理的な基準に基づいて決める必要があります。 たとえば自宅兼事務所の場合、床面積の割合や使用時間の割合を根拠にします。
- 床面積割合(例:全体50㎡のうち10㎡が事業用→20%を経費)
- 使用時間割合(例:1日のうち8時間事業に利用→約33%を経費)

按分割合はメモや写真で根拠を残しておくと、税務調査でも安心です。
少額の支出も経費にできる?
少額でも業務に必要なら経費にできます。ただし証憑の保存は必要です。 たとえば切手代や文房具なども、業務で使った分は経費に計上しましょう。
- レシートの保存が必要(小額でも)
- 「現金払いだから大丈夫」と思わず記録する

私も初めての頃、100円のメモ帳を経費に入れていいのか悩みましたが、大丈夫でした!
まとめと次のステップ
フリーランスの経費処理は、正しい知識をもつことで大きな節税効果が得られます。 一方で、プライベート支出や根拠のない計上はリスクが高いので注意しましょう。
まずは日々の支出をカテゴリ別に整理し、証憑をきちんと保管する習慣をつけることが大切です。

経費の管理は、慣れると負担が減ります。一緒にコツコツ進めていきましょう!
もし「これって経費にしていいの?」と迷ったら、専門家に相談するのも賢い選択です。