フリーランスがお金を分けるべき理由
フリーランスとして活動を始めると、売上や経費、プライベートの支払いが混在しがちです。しかし、これらをしっかり分けることは、経理や節税の土台になります。ここでは、お金を分けるべき2つの大きな理由を解説します。

経費管理の効率化
経費と私的支出が混ざっていると、仕訳のたびに確認が必要です。事業用の口座やカードを使えば、取引のほとんどが経費とみなせるため、帳簿付けやレシートの整理がスムーズに進みます。

税務調査への備え
万が一税務調査が入った場合、事業とプライベートが分かれていると説明が明確になります。税務署が確認するのは「経費の妥当性」です。お金の流れを分けておくことで、不必要な疑いを避けられます。
✅ 経費処理の基本はこちら:
フリーランスが経費にできるもの・できないもの一覧【2025年版】
事業用口座を開設するメリット
「個人事業だから個人口座で十分」と思われがちですが、事業用口座を開くことで経理効率が飛躍的に向上します。ここでは2つの大きなメリットを解説します。

入金・支払い管理の明確化
取引先からの入金や経費支払いが一つの口座に集まることで、管理が驚くほど簡単になります。特に、売上とプライベート入金の混同を避けることは、青色申告の正確性にも直結します。
比較項目 | 事業用口座 | 個人口座 |
---|---|---|
入金管理 | 事業収入のみで明確 | 私的入金と混在しやすい |
経費支出 | 経費支払いを一元管理 | プライベート支出と混同しやすい |
帳簿付け | 仕訳がスムーズ | 按分や確認が手間 |
税務調査 | 説明が容易 | 証明が複雑になる |
プライベートとの分離
生活費や個人的な支払いが同じ口座に混ざっていると、経費の妥当性を証明するのが大変です。事業用口座を開設すれば、ビジネスとプライベートを明確に分けられ、帳簿の信頼性が向上します。

事業用クレジットカードを選ぶポイント
フリーランスが事業用クレジットカードを持つと、経費決済の管理が格段にしやすくなります。カード選びは「特典」と「年会費・審査」の2つを重視しましょう。

特典・ポイント還元
事業用カードでもポイント還元や特典は重要です。例えば、楽天ビジネスカードは高還元率で経費支払いの一部を実質的に回収できます。どのカードを選ぶかで、節約効果に大きな差が出ます。
カード名 | 年会費 | 主な特典・ポイント還元 | 審査難易度 |
---|---|---|---|
三井住友ビジネスカード for Owners | 1,375円(税込)〜 | ポイント還元、福利厚生サービス | やや易しい |
楽天ビジネスカード | 2,200円(税込) | 楽天ポイント高還元 | 易しい |
アメックス・ビジネスカード | 13,200円(税込) | 充実の付帯サービス | やや厳しい |
年会費と審査
年会費は経費に計上できるとはいえ、事業規模に見合ったコストを選ぶことが大切です。また、審査の難易度もカードによって異なります。開業間もない場合は審査が通りやすいカードから始めると安心です。

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開業freee・弥生を使った確定申告の進め方|クラウド会計でラクする方法
実際の使い分け事例
口座やクレジットカードを分けたら、どのように運用するのが理想でしょうか。ここでは具体的な使い分け事例と、家事按分(かじあんぶん)の考え方を解説します。

経費計上しやすい利用方法
全ての取引を事業用カードや口座で行うのが理想ですが、どうしても個人口座や現金を使う場面も出てきます。その場合も、用途を明確にして記録すれば問題ありません。以下は使い分けの具体例です。
支払い内容 | 支払い手段 | 帳簿処理のポイント |
---|---|---|
業務用ソフト購入 | 事業用クレジットカード | 全額経費計上 |
携帯電話料金(事業7割・私用3割) | 事業用口座引き落とし | 家事按分が必要 |
交際費(取引先との会食) | 事業用クレジットカード | 領収書の保存必須 |
家事按分の考え方
業務と私用が混在する支出は、合理的な基準で経費割合を決めて記録します。例えば、携帯電話は通話履歴や業務時間から割合を決めるのが一般的です。税務調査でも説明できる根拠をメモしておきましょう。

会計ソフトとの連携
事業用口座やクレジットカードを整えたら、次は会計ソフトとの連携が重要です。クラウド会計サービスを活用すれば、取引データを自動で取り込めて記帳がスムーズになります。

クラウド会計への自動連携
開業freeeや弥生オンラインは、銀行やクレジットカードの明細を自動取得できます。取引内容にタグを付けて仕訳するだけで記帳が完了するため、紙の通帳やレシートの入力負担が大幅に減ります。
データ管理の注意点
クラウド会計の便利さに頼り切らず、月に一度は「明細の抜け・重複」を確認しましょう。また、データ保管は事業年度終了後も7年間必要です。定期的なバックアップも忘れないようにしてください。

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よくある質問Q&A
事業用口座やクレジットカードについて、よくいただく質問をまとめました。疑問を一つずつ解消していきましょう。

法人口座との違いは?
法人口座は法人名義で開設する口座で、法人格のある会社だけが利用できます。一方、個人事業主は屋号付きの事業用口座を開設することが多いですが、厳密には個人名義です。銀行によっては屋号を付けられるため、取引先に対して「事業用」であることを示しやすくなります。
個人口座でも問題ない?
法的に「必ず事業用口座を持たなければならない」というルールはありません。ただし、経理の手間や税務調査のリスクを考えると、開業初期から分けておく方が安全です。個人口座でも明確に用途を分けて記帳すれば問題はありませんが、手間が増えるのがデメリットです。

まとめと次のステップ
フリーランスにとって、事業用口座やクレジットカードを整えることは経理と節税の基本です。最初にしっかり分けておけば、確定申告や税務調査で困ることが減ります。

まだ準備ができていない方は、この機会に「どの銀行・どのカードを使うか」を検討してみてください。クラウド会計と連携すれば、日々の管理負担も大きく減ります。
もし「どこから手をつければいいかわからない」「自分に合う方法を相談したい」と感じたら、ぜひFinnaに気軽にご相談ください。
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